人にも陰陽があります
陰性の人の特徴
顔色、唇、尿、便の色とも薄め。体温も血圧も低め。
目は大きめで、身長、指ともに長め。
血が出ると止まりいくい。声は小さく手のひらはいつもジトッ
と湿っていて動きはスロー。陰性のおでぶさんは、甘い飲み物、
果物、お菓子、乳製品をたくさんとって身体が緩んでふくれています。
性格はのんびりタイプ。陰性のおやせさんは体力、気力に欠け、
消化吸収力が弱く、性格はなんだかやる気のないタイプ。
陽性の人の特徴
顔色、唇、尿、便の色とも濃いめ。体温も血圧も高め。
目は小さめで、身体、指ともに短め。血が出ても止まりやすい。
声は大きく手のひらはいつもカラッと乾いていて動きが早い。
陽性のおでぶさんは、大食い、大飲みOKで、肉が大好き。
しかも甘いものやお酒など陰性なものも大好き。
それで身体がパツンパツンになっています。
声が大きく睡眠が少なくても平気で、顔は赤ら顔で、一見元気そうに
見えますが、突然倒れるタイプ。陽性のおやせさんは、塩辛いものや
陽性なものの食べすぎで、顔色はどす黒く、身体は固く締まりすぎて
性格は融通がきかない頑固者が多い。
思い当たる人いますか?
それぞれの体質によって、とったほうがいい食べ物、減らしたほうが
いい食べ物があります。ですが、どんなタイプの人にも共通して
必要なことは「主食は玄米(発芽玄米)ごはん」ということ。
おかずは、極陽性の動物性と極陰性の白砂糖を使わず、季節に合った
陰陽のもので、食べすぎに注意して、よく噛んで食べることです。
この食事を続けることで自然に中庸に近づいていきます。
何が陰で何が陽?
寒い北国や、寒い冬は陰性です。
そこでよく育つ野菜は土中で育つごぼうや人参など陽性のもの。
その反対に暑い南国や、暑い夏は陽性で、よく育つ野菜は茎に
ぶら下がってなるなすやきゅうりなど陰性のものです。
すなわち寒い北海道や東北では、身体を温める陽性のものがとれ、
暑い沖縄では身体を冷やす陰性のものがよくとれるのです。
水分が多いもの、柔らかいものは陰性。
水分が少ない、堅いものは陽性です。同じ素材でも生のものより、
日に干して味が凝縮した乾物のほうが陽性です。
苦いもの、塩辛いものは陽性で、甘いもの、酸っぱいもの、
ホットな辛さのものは陰性です。
東北地方の料理の塩味が濃いのは、身体を温めるため塩の陽性さが
必要だから。暑い地域の料理に甘い味つけや、酸味がきいたものが
多いのは、身体を上手に冷やすためです。
甘くて酸っぱい味が多いタイ料理などまさにそうです。
また、身体をよく動かす人は濃い塩味を欲します。
あまり動かない人は薄味を好みます。
その人がおいしいと思う味つけは、住む環境と身体の使い方に
よって変わります。
陰陽はおもしろい!
「インヨウ」なんていうと、
なんだかむずかしそうに聞こえますが、知れば知るほどおもしろい世界です。
もとは中国の易経にある考え方で、森羅万象の変化を
「陰と陽の組み合わせによる六十四卦の相」で読み取るもの。
これを桜沢如一さんが「無双原理・易」として日常的に使えるよう
再構成したのが、マクロビオティックの陰陽です。
陰とは遠心力(天へと上昇していくもの)・静かなもの・冷たいもの
などを指し、陽とは求心力(地へと下降していくもの)・動きのあるもの・
熱いものなどを指します。
玄米や素材、食べ方をチェックしましょう
マクロビオティックの食生活を1週間続けても変化がない場合は、
どこかに問題があります。下記の点をチェックをしてみましょう。
1.玄米・野菜は無農薬有機栽培のものですか?
2.だしは天然昆布か天日干しの干し椎茸ですか?
3.塩は自然海塩ですか?
4.水は汚染されていない天然水か、浄水器を通したものですか?
5.調味料は伝統製法でつくられたものですか?
6.主食と副食の割合は、主食3に対し、副食1ですか?
副食のほうが主食よりも多くはないですか?
7.南国の果物や甘いもの(白砂糖や乳製品使用のお菓子・清涼飲料水)
を食べていませんか?
玄米を食べてはいても、農薬使用米では身体を立て直す効果が期待できません。
市販の発芽玄米も、特に表示していなければ農薬米なのでご用心。
オーガニックのおいしい玄米を食べはじめると、次のような体調の変化を
実感することができるでしょう。
●朝、ぱっと目覚める。
●便秘をしなくなる。
●生理痛がなくなる。
●風邪をひかなくなる。
●めそめそしなくなる。
●体重が適正になる。
ふと気がつくとそうなっているはずです。
玄米ダイエットは足もとがふらふらするような悲しいダイエットではありません。
病気にならず、元気になる!これが目的の食生活改善法なのです。
何より食べて欲しいのは、未精白の穀物、玄米(もちろん発芽玄米)です。
ごはんの割合を多くして味噌汁を飲み、温帯地方・日本に適した食生活=昔から日本
に適した食生活=昔から日本で培われてきた食生活に戻しましょう。
【 ダイエットがうまくいかない原因に「冷え」があります。 】
注意①
ケーキやアイスクリームが好きでよく食べている女性はほぼ陰性です。
血糖値を急激に上げる陰性の甘いものは、まずやめること。
そしてダイエットの効果を上げるために身体を冷やさないこと。
特に下半身が冷えないようにすることです。
注意②
動いていますか?血液の流れをよくするために歩いて運動しましょう。
日光に当たりましょう。お風呂に入って汗をかき、老廃物を速やかに出しましょう。
注意③
健康のために水をがぶがぶ飲む人がいますが、水は陰性。
とりすぎると冷えてしまいます。今まで甘いものをいっぱいとってきた人は水分少なめ
が肝心。飲むなら三年番茶に。
注意④
痩せたいからといってサラダだけ食べる人がいますが、生野菜は身体を冷やします。
野菜は必ず、塩を効かせ、火を通すか、発酵させてからとってください。
味噌汁の具は何がいいの?
陰陽で組み合わせます。
ごはんと味噌汁は日本の食生活の原点です。
味噌は植物性ながら動物性たんぱく質を40%も含む偉大なる発酵食品です。
大豆はお米に不足しているリジンやスレオニンという必須アミノ酸を多く含み、
逆にお米は大豆に不足しているメチオニンなどの硫黄を含むアミノ酸を含んでいます。
ですので、ごはんと味噌汁をセットでとれば互いにない栄養素を補い合えるのです。
季節の素材を入れた味噌汁に発芽玄米ごはんは、最小限で満足のいく食事になります。
動物性食品をとらないマクロビオティックな食生活では、味噌汁は欠かせない大切な
一品です。
具は四季折々の旬な野菜に大豆製品や、海藻、乾物を組み合わせてください。
特に海藻は海のミネラルや食物繊維が手軽にとれる貴重な素材。
1日1回は口にしたいもの。
昆布をだしでとるほか、岩のり、ふのり、わかめなどからもいい味が出るので積極的に
とってください。
具はそのまま入れるだけでなく、油で炒めたり、焼いてから煮込めば、うまみもよく出て、
だしがいらないほどです。
味噌は甘口から辛口まで種類が豊富。いろいろ試して好みを見つけてください。
マクロビオティック的に野菜をとるには?
すぐできるサラダ感覚の即席漬けはいかが?
野菜の料理というとサラダを思い浮かべますが、
生野菜は水分を多く含み、身体を冷やすので暑い時季以外は
おすすめしません。
野菜は火を通すか、塩をした漬けもので食べましょう。
かるく塩をして香りと食感を生かし、食べやすくしたサラダ
感覚の浅漬けがおすすめです。
【 白菜の浅漬けの材料 】
- 白菜 … 1/8束(約300g)
- 塩 … 野菜の重さの2%
※『昆布』を入れる場合、昆布も塩と同じ分量(野菜の重さに
対して約2%)ほど用意するとよいでしょう。
※お好みで食べる直前にほんの少しの『醤油』や『ごま』など
ををかけてもよいです。
マクロビオティックのだしって?
昆布と干し椎茸でうまみ充分です。
「だし」をとるというと、めんどうくさいと思いがちですが、
マクロビオティックはかつお節を使わないので簡単です。
昆布も椎茸も水につけるだけで、なんとも美味しい上品な
旨味が出て、貴重な栄養も摂取できます。
夜、寝る前や、朝、仕事に行く前につけて冷蔵庫に入れて
おけばよいのです。味が濃く出たら、薄めて使えばOK。
また、昆布だけを取り出して少し煮詰めると、旨味がより
深まります。
昆布は北の海でとれる陽性の素材で、椎茸は樹木に寄生し、
高温多湿の中、菌で増殖する陰性の植物。
この組み合わせが味に深みを出すのです。
■水1Lに対し、昆布(10×10cm)1枚、
干し椎茸(小)3個が目安です。
○昆布の白い部分は旨味です。ふきんで拭くと貴重な旨味が
なくなるので、そのまま使いましょう。ごみが気になる人は
最後に茶こしを通します。
○急ぐときは、昆布も椎茸もなるべく小さく切り、水から鍋に
入れて、ごく弱火でじわじわと煮出してだしをとります。
○密閉容器に入れ、冷蔵庫で2日保存できます。それ以上に
なるときは少量ずつ冷凍しておくと便利です。
マクロビオティックな飲み物って?
身体を整える飲み物です。
肉食で身体が陽性になっている時は陰性の煎茶が欲しくなります。
しかし、玄米菜食には陰性の煎茶より、中庸な三年番茶が合います。
水1リットルに対して大さじ2~3の茶葉を入れて火にかけ、沸騰
したら弱火にして20~40分煮出します。
マクロビオティックの飲み物は、ちょっと疲れたときや生理痛が
あるときでも、身体にやさしく負担をかけない飲み物です。
それぞれの番茶のバリエーションは目安の分量はありますが、
自分が美味しいと思う濃さで飲んでください。
また、お茶は虫に弱いため一般に消毒薬をたっぷりかけて栽培され
ます。でも野菜と違ってお茶は一度も「洗わない」ため、
ふだんのお茶は無農薬のものを選ぶようにしましょう。
<番茶のバリエーション>
■塩番茶
ちょっと疲れたときや、殺菌作用があるので、うがい水、花粉症や
結膜炎の洗眼、鼻炎の洗鼻用にも。
カップに塩少々(お茶の1%)を入れ、熱い三年番茶1カップを注ぎます。
■醤油番茶
血液をきれいにして新陳代謝を促すので、疲れたとき、元気を出したいとき、
冷え性の人に。軽い腰痛、頭痛にも。
カップに醤油小さじ1を入れ、熱い三年番茶1カップを注ぎます。
■ごま塩番茶
カルシウム不足でイライラしたときや、不眠症のときに。生理痛もやわらげます。
カップにごま塩(黒ごま8対塩2)小さじ1を入れ、熱い三年番茶1カップを
注ぎます。
身体を温める・冷やすものさし「陰陽」
身体に必要な栄養やカロリーは重要視されますが、素材が持つ性質
が問題になることは、あまりありません。食べ物はその土地に合った
ものがよく育ちます。暑い地域でとれるものは身体を緩めて冷やす
ものが中心。寒い地域でとれるものはその逆で身体を締めて温める
ものが中心です。
四季のある日本では旬の味が大切にされてきました。夏は身体を冷やす
酢のものや冷や奴、そうめんなど。冬にはふろふき大根や、味噌や醤油
で煮込んだ根菜類、たくあん、そばが美味しくなります。
伝統食は陰陽の調和がとれたものばかりです。
春には若竹煮(陰性のたけのこと陽性のわかめ)、冬は湯豆腐(陰性の
豆腐と陽性の昆布、つけ汁に陰性のしょうがと陽性の醤油)など、
昔の人は陰陽など知らなくても身体で判断したのです。
流通の発達していなかった昔は、季節外の海外産のフルーツを食べる
ことはありませんでした。
今、気になるのはフルーツや甘いもののとりすぎです。砂糖たっぷりの
甘いケーキは極陰性。常食すれば確実に冷え性となり、さまざまな病気
の原因をつくります。
食事は中庸がいちばん。最適なのは玄米です。
発芽玄米を主食とし、季節の陰陽に合ったものを副食でとりましょう。
食育の重要性を考えてみませんか?③
お米の作り方を知らない子供たち
最近のスーパーマーケットなどでは、たとえば魚も切り身にして
売られていることが多く、魚が元はどのような姿をしていたのか
さえ知らない子供がいます。
魚が泳いでいるところを見れば、自然の恵みに対して感謝の念も
わくでしょうが、切り身しか知らなければ食べ物を粗末に扱い、
残してもなんとも思わない気持ちが芽生えてしまいます。
お米に対しても同様です。
特に都会育ちの子供たちは、お米が実っているところはテレビや
写真で目にしたことはあっても、実際に見たり触ったりしたこと
がないために、いくら農家の人が丹精込めてつくってくれたのだ
と話してもピンときません。そこで平気で食べ残したりします。
子供への食育には、食べ物の大切さを伝えることも含まれます。
お米がどのようにしてでき、どのようにして食卓まで届くのか
話して聞かせることも、日本人の主食であるお米を大事にする
上で大切です。